水草の育て方1 (水草の種類)
カキツバタは日本の全国各地の山野で、水湿地、水辺などの日当たりかよい水深20cmほどの沼沢地に、群生する抽水性の多年草です。観賞用として栽培もされます。カキツバタは鮮やかな紫色の花弁に黄色や白の筋が入るのが特徴です。
草高80cmほどになり、葉は剣状広線形で黄緑色です。
中央脈が目立ちます
花茎よりも葉が長くでます。
葉間から花茎を突出し、分枝せず少数の短い葉がつきます。カキツバタの根茎は繊維でおおわれ、耐寒性か強く、泥中に横臥して分枝します。
葉は黄緑色、互生、刺状広線形、長さ30~90cm、幅2~3cm、中央脈は隆起しないですが太くて明瞭、葉先は花茎より上方に出ます。カキツバタの花期は5~6月頃、平地で5月中旬、山地や北国では6~7月、別に四季咲(5~12月)の園芸品種もあります。
(四季咲き種とは春から秋にかけて条件のよいときに不定期に咲く植物のことを指します。)葉間より長さ40~80cm中実の花茎を直立しますが、花茎は分枝せず少数の短い葉かつきます。花序は3花からなり、頂端から順次1日花を上向きに開花します。
花序の苞葉は1~2、広ひ針形または狭長楕円形で淡緑色、長さ5~7cm、花柄は子房よりも短いです。
外花被の色はふつう青紫色で濃淡の別があり、白色のシロカキツバタもあります。和名カキツバタの語源は?付花(書き付け花)に由来します。
万葉名には加吉都幡多、垣津幡その他があります。
日本語で一般化した漢字名は杜若または燕子花があり、別名には貌吉花(かおよばな)、付保婆奈(かぼばな)、ソトメなどがあります。区別しがたい美しさの例えで、「いずれがアヤメかカキツバタ」、といいます。
カキツバタや、「ハナショウブ」は「アヤメ」に似ており、いずれもアヤメ科です。この三つを総称して「アヤメ」と呼ぶことがあります。
水中から生えていた場合、カキツバタか「ショウブ」、湿地や湿った場所に生えている場合は「ハナショウブ」、畑のように乾き気味の場所で花を咲かせているのは「アヤメ」です。
花びらの模様が、黄と紫の網目が「アヤメ」、カキツバタは白い筋、「ノハナショウブ」は黄色い筋です。
葉に白い筋があれば「ハナショウブ」、白い筋が無くて幅広であればカキツバタ、細長い葉であれば「アヤメ」です。花の外形がカキツバタに似ているものに「ノハナショウブ」があります。
「ハナショウブ」の原種で、日本各地の酸性の草原や湿原にはえます。
「ハナショウブ」の葉は長さ30~60cm、幅5~10mm、中央脈は明瞭です。
花茎はカキツバタよりやや小さく、外花被片の基部はやや厚く、中央部は黄色、内花被片は直立し小形の狭長楕円形で目立ちません。
また、雄しべの葯は黄色なのでカキツバタと識別できます。本州中部以北や北海道の山地や原野の日当たりのよい水湿地には7~8月に開花する「ヒオウギアヤメ」があります。
「ヒオウギアヤメ」は「アヤメ」に似ていますが、アヤメは花期か5~6月で中生植物であるほか、花の構造や葉か少し異なります。
「ヒオウギアヤメ」の花径8~10cm、外花被片はほぼ円形、基部は黄色で紫色の筋か数条あり、先端が少し丸味をおび下垂します。
長さと幅は4~5cm、内花披片は三角形状で小さく長さ約1cm、幅約5mmで目立ちません。
葉の幅はアヤメが12mm以下で、「ヒオウギアヤメ」は20~30mmです。「ヒオウギアヤメの変種に那須地方産の「ナスヒオウギアヤメ」と霧ケ峰特産の「キリガミネヒオウギアヤメ」が知られますが、雑種なので、ともに種子はできません。
「ナスヒオウギアヤメ」の内花被片はすみれ色で、良さ約2cm、針状部の長さ5~6mm、幅6~7mm、ひょうたん形、先端に5~6mmの針状突起かあります。
「キリガミネヒオウギアヤメ」は花径が11~14cm、内花披片は紫色で良さ約2.5cm、幅約1cm、ペン先状で針状部の長さ3~6mm、「ナスヒオウギアヤメ」よりも花茎も高く1mを越え、大きい花が咲きます。
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水草の育て方2 (水草の育成)
カキツバタは屋外の水鉢や庭池栽培に適します。
根腐れの心配がないほど非常に水分を好みます。
土が乾燥するのをいやがりますのであまり日当たりの良すぎる場所での栽培は避けます。
種子または根茎で越冬します。
水草の増やし方
有茎水草の増やし方はいろいろあり、どの増やし方も簡単です。
最も一般的で、初心者の方にもおすすめの増やし方は「さし芽」によって繁殖させる方法です。
有茎水草がある程度伸びたら草体のほぼ真ん中で切ります。
茎の途中の節に根が出ている場合はその場所で切るのも良いでしょう。
切断する位置は茎の節の下から5mmほどの所です。
切り取った上の部分を底床に植えて固定すれば、やがて根付きます。
残った下部もまた同様に底床に植えて固定すれば、やがて脇芽を出して増やせます。
側枝を作る場合も多く、側枝が水面まで伸びてきたら、また茎節の下5mmの位置でカットして床砂に植えます。
こうしてどんどん増やすことができます。「取り木」よる方法もあります。
有茎水草が底床に根付いている状態で、そのまま茎を寝かせ、茎頂辺りを石などで軽く固定します。
すると、やがて茎節から新芽と根が出てきます。
新芽が5cmほどに生長したらそれぞれをカットし、新たに植え直します。
水草水槽のレイアウト
カキツバタは睡蓮鉢や水鉢での栽培がおすすめです。
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水草図鑑データ
名称 | カキツバタ |
学名 | Iris laevigata |
和名 | カキツバタ |
別名 | 貌吉花(かおよばな)、付保婆奈(かぼばな)、ソトメ |
科名 | アヤメ科 |
原産 | 日本(本州、四国、九州)、シベリア東部、中国大陸、北部温帯域 |
光量 | 日光 |
二酸化炭素 | なし |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
硬度 | 軟水~中硬水 |
水温 | 20~28℃ |
形態 | 有茎水草 |
栽培難易度 | 普通 |
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