水草の育て方1 (水草の種類)
ヒシモドキは、沼地や小川などの浅水域に生える稀な植物です。
浮葉植物の1年生草で、種子で越冬します。ヒシモドキは、根を泥中に下ろし、茎は水中にあって葉を浮かせながら広がります。
地下茎は匍匐し、水中茎も長く横に延び、葉は通常水面に浮かんで対生し、葉柄があり広卵形、青緑色。
3つの葉脈が明瞭にわかります。
鈍頭または円頭。葉縁に鈍鋸歯があり、ヒシの葉に似ています。
長さ1cmほど、幅1.0~1.3cm位。水中葉は狭く小さく膜質。
生育の初期に水中葉をつくり、葉は対生し、披針形で長さ1~3cm、幅1~3cm、葉緑に鋸歯があります。
茎が伸長すると浮葉を浮かべます。ヒシモドキはゴマに似た薄ピンク色の可憐な花を付け、また錨を思わせる特異な形状の種子を実らせます。
ヒシモドキの花は7~9月頃上部の葉腋より花柄を水面上にだし、先に淡紅色の筒状花を開き、托葉はなく、花冠は5裂左右相称です。
花を開く開放花とつぼみのままの閉鎖花がありますが、いずれもよく結実します。
花後、がく裂片が成長した3~5本の刺状突起をもつ特徴ある果実をつけます。
ヒシモドキの果実は長い3~5刺のあるイカリ状でヒシの果実やマツモの果実と同様流失を防ぎ、底土に固定するために役立っています。和名ヒシモドキの語源は、ヒシに似た浮き葉を形成することから、この名があります。
別名のムシヅルは宇治地方の方言で、果実の形がミズカマキリに似ているに由来するといいます。果実の糸状突起が3本である変種は、「カラヒシモドキ(別名シナヒシモドキ)」と呼び、関東地方にまれに産します。ゴマ科の植物は世界に約16属50種が知られ、温暖地帯から熱帯に分布します。
食用としてゴマが栽培されていますが、日本の自然にはヒシモドキが1種だけ知られます。
ヒシモドキをヒシモドキ科として独立して扱う場合があります。環境庁(省)の2000年版レッドデータブックには、絶滅危惧I A類に該当しています。
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水草の育て方2 (水草の育成)
ヒシモドキの育成は容易、生育は速いです。
性質は丈夫で特に気難しいこともなく、他の浮葉植物同様容易に育成することが出来ます。
ヒシモドキの育成は、弱酸性~中性、軟水~弱硬水の水質で、二酸化炭素(Co2)の添加を行っていれば比較的容易です。
用土中及び水中の肥料分を若干多肥気味にしたほうが生育は良くなります。
水草の増やし方
ヒシモドキを育成していると、水槽では細長いつぼみ状の閉鎖花をつけ、自家受粉で結実、種子ができ、こぼれ種で自然に発芽、生育することがあります。
有茎水草の増やし方はいろいろあり、どの増やし方も簡単です。
最も一般的で、初心者の方にもおすすめの増やし方は「さし芽」によって繁殖させる方法です。
有茎水草がある程度伸びたら草体のほぼ真ん中で切ります。
茎の途中の節に根が出ている場合はその場所で切るのも良いでしょう。
切断する位置は茎の節の下から5mmほどの所です。
切り取った上の部分を底床に植えて固定すれば、やがて根付きます。
残った下部もまた同様に底床に植えて固定すれば、やがて脇芽を出して増やせます。
側枝を作る場合も多く、側枝が水面まで伸びてきたら、また茎節の下5mmの位置でカットして床砂に植えます。
こうしてどんどん増やすことができます。「取り木」よる方法もあります。
有茎水草が底床に根付いている状態で、そのまま茎を寝かせ、茎頂辺りを石などで軽く固定します。
すると、やがて茎節から新芽と根が出てきます。
新芽が5cmほどに生長したらそれぞれをカットし、新たに植え直します。
水草水槽のレイアウト
ヒシモドキを水槽で育成して楽しむ場合は水中葉が観賞の対象となるので、頭頂部が水面に到達しそうになったら切り戻しを行い、草丈をその水槽の水深の2/3~1/2程度にします。ヒシモドキは、やや節間が長いので、10本ほどをまとめ植えすると見栄えがします。レイアウトには、草丈の低い水草をたくさん植えている場所に、ヒシモドキをスポット的に植えて使用するとよいでしょう。「ヒシ」とは違った雰囲気を持ち大型にもならないので、水鉢やオープンアクアリウムのレイアウトにもお勧めできる水草です。
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水草図鑑データ
名称 | ヒシモドキ |
学名 | Trapella sinensis F. W. Oliv. |
和名 | ヒシモドキ |
別名 | ムシヅル |
科名 | ヒシモドキ科、ゴマ科 |
原産 | 日本(北海道を除く各地)、アジア |
光量 | 普通 20W×2~4本 |
二酸化炭素 | なるべく添加 |
水質 | 弱酸性~中性 |
硬度 | 軟水~弱硬水 |
水温 | 18~30℃ |
形態 | 浮葉植物 |
栽培難易度 | 容易 |
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