水草の育て方1 (水草の種類)
ヒメコウホネは池沼、小川、湿地に群生する日本固有の浮葉性の多年草です。
日本の中部以西の池沼、ため池、河川などに生育しています。ヒメコウホネは「コウホネ」より小型で、通常それよりも深い水中で成育し、浮葉で生活します。
これは浅水域で抽水生活をおこなうコウホネより「進化した姿」と考えられています。ヒメコウホネは「コウホネ」に良く似た根茎を匍匐するように生長させ、その先端から葉と根を出します。
水中葉は広卵形で、長さ6~15cm、幅5~12cm。
浮葉と抽水葉はやや大きくなります。
根茎は通常直径2~3cm、水中葉は膜質で柔軟です。
卵形または楕円形基部は深い心形で、茶色がかる黄緑色をしています。
渇水期には水上薬も作ります。
通常、生活型の浮葉は円形または広卵形、長さ5~15cm、幅5~8cm、円頭、基部はヤジリ状探心形です。
両脚片は鈍頭で、葉面は艶があり茶線色をしています。花は間の間から花茎を水面上にあげ、項端に直径3~4cmの黄色い花を1個つけます。
花弁は多数あり、やや長方形です。
花糸は長く、葯と共にやや外に反っています。
雄しべも雌しべも多数あります。
オグラコウホネの花とやや似ているのですが、それより小型です。ヒメコウホネは自然界では「コウホネ」より小さいですね。
水槽の中でもヒメコウホネは「コウホネ」と比較して小型なイメージがありますが、同一条件下での水槽育成では、両者とも殆ど同一の大きさになります。
ヒメコウホネと「コウホネ」の違いは、切れ込みがⅤ字型もしくは円型でも、葉基部に小さな切れ込みがあることで区別できます。コウホネの見分け方は下記の通りです。
コウホネ……某柄は中実。花糸と葯はほぼ同じ長さです。
ヒメコウホネ……葉柄は中実。花糸と葯は同長か少し長いです。
オグラコウホネ……葉柄は中空。花糸は葯より3倍以上長いです。日本にはもう1種ヒメコウホネの変種とされている「ナガバベニコウホネ」や赤い色の美しい「ベニコウホネ」があります。
近年育成しやすい改良種が市販されるようになってきました。日本が原産地でありながら、市販数量はコウホネやヒメコウホネに比して明らかに少なく、人手できることは稀です。
市販されるヒメコウホネは、根茎の先端を10cm程度に切断した根茎片が多いです。
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水草の育て方2 (水草の育成)
ヒメコウホネの育て方は、「オグラコウホネ」と同様です。ヒメコウホネは生活型から見て、他のコウホネより水槽栽培に通していると考えられます。ヒメコウホネは水に入ると抽水形になります。
育成条件によって、葉が細長くなることがあります。ヒメコウホネは水槽では、葉柄が伸びて浮葉を形成するスイレン類が多い中、ヒメコウホネは葉柄があまり伸びず水中形を長期間維持できます。
葉型はコウホネとほぼ同一で、葉柄との接続部に丸味をおびています。コウホネ類を水槽育成するにあたって、最も大切なことは、光合成がより多く行なえるような条件を作ることです。
光合成によって作られた酸素は、水草の中で分配され、各細胞の生命はそれによって維持されるのですが、光合成量が少ない時には、酸素をすべてに分配することが出来ず、その結果、葉から最も遠い根茎から腐り出してしまうことになります。
育成条件の悪い水槽では、根茎が茎基部から1cm程度を残して腐ってしまっているのを良く見かけるのですが、これは分配される酸素がその場所ですべて使い果されてしまった結果であることを意味しています。
その原因の多くは、光量不足と溶存二酸化炭素(Co2)の不足です。
特に、溶存二酸化炭素(Co2)量の少ない水槽では、根茎の腐り方は著しいですね。
二酸化炭素(Co2)を添加し強めの光を与える水槽では、根茎が腐るようなことは殆ど無く、草丈が30cm前後で、形状にまとまりがあり、特に美しいですね。
葉柄が長くなり過ぎる、あるいは逆に矮化して小型になる場合は、主に光量不足が原因です。ヒメコウホネを水槽で育成するには、根茎の先端が砂上に2~5cm程度出るよう、底床に差し込めば良いです。
斜めでも直立させてもかまわないです。
浮力が強いので、しっかり差し込むことが肝要です。
数日後には新葉を出し、その後、根を出して砂に固定するようになります。
こうなったら、移動は出来るだけ避けた方が良いですね。
水草の増やし方
コウホネの増やし方は根茎の株分けで増やすことができます。
水草水槽のレイアウト
ヒメコウホネは日本で市販されるスイレン科コウホネ属の中で最も水槽育成しやすく、美しい水草です。
アクアリウム水槽のレイアウトでは価値が高く、日本が世界に誇れる丈夫で美しい水草です。
「コウホネ」や「オグラコウホネ」と同様に、水槽育成の場合には浮葉や気中葉を出すことは殆ど無く、その点で「セイヨウコウホネ」と比較して喜ばれます
アクアリウムでは、中型~大型水槽向きで、中景草として使用する場合が多いですね。
特に、有茎水草の中にアクセントを付けるために1本植えしたヒメコウホネは、「タイガーロータス」に決して劣るものではありません。
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水草図鑑データ
名称 | ヒメコウホネ |
学名 | Nuphar subintegerrimum |
和名 | ヒメコウホネ |
別名 | Least water-lily |
科名 | スイレン科 |
原産 | 日本(本州、四国、九州) |
光量 | 普通 20W×2~4本 |
二酸化炭素 | 必要なし~少なめ |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
硬度 | 中硬水 |
水温 | 18~26℃ |
形態 | 根茎性 ロゼット |
栽培難易度 | 普通 |
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