水草の育て方1 (水草の種類)
ヘラオモダカは全国各地の池沼やため池の浅水中および水湿地、水田などに群生するオモダカ科サジオモダカ属の湿生植物・抽水性の多年草です。ヘラオモダカの草丈は40~120cmと生育環境によって差があります。
葉柄は長さ10~20cm、葉には長さ10~30cm、幅1~4cmで鋭頭、狭脚、全縁(ギザギザがない葉)、厚味があり濃緑色です。
ヘラオモダカは葉柄と葉の境界は明瞭ではなく、葉は大きさや形状の変異が著しいです。ヘラオモダカの葉はへら形で基部に向かい次第に細くなり葉柄につづき、全長8~50cmあります。
葉は叢生、幼葉は線形成長するにつれて肥大し、7~8個以後に生ずる葉の葉身はひ針形または狭長楕円形、濃緑色、両面平滑、全縁(ギザギザがない葉)、明瞭な葉脈は5~7、特に中央脈は顕著、長さ5~25cm、幅1~5cm、やや厚質で弓状に曲がり、先端は鋭尖頑。
基部は葉柄に続き狭楔脚、葉柄は海綿組織が発達して軟質、長さ15~20cm、幅約5mm、基部は広がり株を抱きます。
水中ではやや線状葉となり、小型化します。ヘラオモダカの根茎は短縮して塊状、多くのひげ根があります。ヘラオモダカの花茎は高さ20~100cm、枝を数段輪生し、葉より高く、白~淡ピンクの3花弁。
下部から順次開花します。
夏から秋に出す花茎は枝を三本ずつ数段輪生して通常葉より高い(30~100cm余)多数の小さく白い両性花を開きます。
花期は7~10月。
葉間から高さ50~130cm、一辺が3~5mm、三角柱状、中空の花茎をのばし、上方は複輪生総状花序になります。
花茎は3出して輪生、さらに3個ずつ小枝を輪生しながら花柄を出します。
花柄は細く、長さ10~25cm、基部に狭ひ針形で長さ約1.5cmの苞があります。
最先端は長さ1~1.5cm、3個の花柄からなり、その先端に花径約10mmの白色の両性花が咲きます。
花は1日花で、午後開花して夕刻閉じます。
萼片3、緑色、卵円形、長さ1、5~3mm、宿がく。
花弁3、白色でわずかに紅色、倒円形で長さ約4mm、上縁は不規則な鋸歯状、基部は黄色です。
雄しべ6、花糸は糸状、長さ約2mm、葯は淡黄色、心皮多数、花柱は子房より少し短く、長さ約1mm。
花後一辺が約5mmの三角形状に多数の痩果が1列に並列します。
痩果は平たく扁倒卵形、黄褐色、長さ約3mm、背部に1個の深い溝があり内部に長楕円形、長さ約2mmの種子を1個含みます。
果実は成熟して痩果が水面に落下すると浮上して移動します。ヘラオモダカの水上葉は根生して披針形~広披針形、つまりへラ状をしているためヘラオモダカの和名があります。漢字名は「箆面高」です。
ヘラオモダカの根茎は有毒ですが、「サジオモダカ」の代用品として利尿、止渇、強心薬として利用できます。ヘラオモダカと全草の形状が似ているナガバオモダカ(ジャイアントサジタリア)は、花が分岐しない総状花序(2~3個輪生)を作るので見分けられます。サジオモダカ属は世界に約10種、温帯から熱帯に自生します。
日本にはヘラオモダカとサジオモダカの2種がありますが、葉形によって区別するほか痩果や塊茎を比較して識別できます。
ヘラオモダカの葉はひ針形または狭長楕円形、基部は細長く酎丙は不明瞭、痩果の背部に深い1溝条があり、塊茎は小さいです。
これに対し、サジオモダカの葉は卵状楕円形で基部はやや円形で葉柄は明瞭、痩果は背部に浅い2溝条があり、塊茎は親指の先ぐらいの大きさになります。
ヘラオモダカの一型で花茎が葉より高くならず、花が群がって咲くものがありますが、これを最初に発見された地名をとり、「アズミノヘラオモダカ」と呼びます。
変種では、「トウゴクヘラオモダカ」があり、本州(関東以西)や九州の一部に知られます。
葉がより線状ひ針形で、3~5脈、葯は紫色です。類似種の見分け方
サジオモダカ…葉身の基部は円形で葉柄との境は明瞭です。
ヘラオモダカ…黄身の基部は次第に細くなり葉柄との境は不明瞭です。
アズミノヘラオモダカ…葉はヘラオモダカと同じ、花茎は葉より高くなりません。
マルバオモダカ…浮き葉を持ち、葉は腎臓形です。
オモダカ…葉はやじり形です。
ウリカワ…葉が線形です。
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水草の育て方2 (水草の育成)
ヘラオモダカは耐寒性が有り、種子で越冬します。
また、根茎が冬も残り、越冬します。
水草の増やし方
有茎水草の増やし方はいろいろあり、どの増やし方も簡単です。
最も一般的で、初心者の方にもおすすめの増やし方は「さし芽」によって繁殖させる方法です。
有茎水草がある程度伸びたら草体のほぼ真ん中で切ります。
茎の途中の節に根が出ている場合はその場所で切るのも良いでしょう。
切断する位置は茎の節の下から5mmほどの所です。
切り取った上の部分を底床に植えて固定すれば、やがて根付きます。
残った下部もまた同様に底床に植えて固定すれば、やがて脇芽を出して増やせます。
側枝を作る場合も多く、側枝が水面まで伸びてきたら、また茎節の下5mmの位置でカットして床砂に植えます。
こうしてどんどん増やすことができます。「取り木」よる方法もあります。
有茎水草が底床に根付いている状態で、そのまま茎を寝かせ、茎頂辺りを石などで軽く固定します。
すると、やがて茎節から新芽と根が出てきます。
新芽が5cmほどに生長したらそれぞれをカットし、新たに植え直します。
水草水槽のレイアウト
ヘラオモダカは、アクアテラリウムやバルダリウム、屋外の池や鉢などに適しています。
アクアテラリウムやバルダリウムの場合には明るい窓際が良いでしょう。
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水草図鑑データ
名称 | ヘラオモダカ |
学名 | Alisma canaliculatum |
和名 | ヘラオモダカ(箆面高)、ハナグワイ(花慈茹) |
別名 | |
科名 | オモダカ科 |
原産 | 日本(北海道~沖縄)、中国、朝鮮、東南アジア、オーストラリア |
光量 | 普通 20W×2~4本 |
二酸化炭素 | なるべく添加 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
硬度 | 軟水~中硬水 |
水温 | 20~28℃ |
形態 | 有茎水草 |
栽培難易度 | 容易 |
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