水草の育て方1 (水草の種類)
スギナモは寒地の湖沼や河川の岸に群生する抽水性または沈水性の多年草です。
スギナモは汽水中にも淡水中にも生育し、日本では、本州(長野・尾瀬・八幡平)・北海道に分布します。
木曽川の河口で発見された記録がありますが、現在では尾瀬ケ原の上出代を流れる大堀川の清流や、八幡平の松川温泉付近にある五葉沼および北海道の大沼その他などの、こく限られた寒地の水域にしか見られない責重な存在になっています。
長野県版レッドデータブックの絶滅種にも分類されています。スギナモは全草無毛、濃緑色です。
根茎は白色、円柱状、径2~3mm、泥中を構走し、節より多数白色のひげ根と、上方へ濃緑色の茎を直立します。
節間は下方より上方へ次第に密となり、全草の姿は円錐形になり、杉の木のように見えます。
茎は円柱状、径3~5mmで多節、下方は約2cm間隔、上方は約5mm間隔に輪生葉をつけます。
茎葉ともに軟弱、無柄。スギナモは流水域では水中葉で、線形、膜質で6~12輪生し、線形で、長さ2~6cm、葉幅2~3mm、黄緑色~緑褐色で中央脈は明瞭です。
淡水中の葉は針状になり、水上に生えるものは長楕円形です。
水中葉は長さ2~6cm、幅~3mm、スギナモは水上に茎が出ると水上葉となり、葉は小型で厚くなり長さ5~17mm、幅約1.5mm、平滑で濃緑色、先端部は上方へ湾曲しますが、茎の中央部の葉は最も長いです。
水上葉はやや質が厚く、線形または狭長楕円形、先端は鈍頭、わずかに2叉します。
浅水中に生育するものは抽水性で直立し、草高30~60cm。
円柱形の茎に無柿の線形または長楕円形の葉を4~12個輪生します。スギナモは水位が低下し、陸上の水辺に群生する茎は、水上葉だけが着生、草高10~30cmで、抽水性より低いです。
茎は再生力が強く、倒れた茎は各節から分枝して栄養繁殖を続けます。自生地では夏が近づいてくると、流れから立ち上がって、まさにスギナのような姿を空中に持ち上げます。スギナモの花期は7~8月、花は水上葉の各葉腋に単生し、下方から開花します。
1個の花は花被がなく、雄しべ1、雌しべ1からなる両性花で、ときに単性花、花柄はありません。
萼片は卵状楕円形で緑色、平滑、長さ約1mm、全縁。
花糸は短く、葯は紅色広卵形、はじめは花柱を内面に抱きます。
子房は花床に包まれ、子房下位、花柱はむち状、密毛があり、全体か柱頭のはたらきをしています。
胚珠は1、果実は小核果で、はじめ紅紫色、のちに茶褐色、楕円形、長さ約2mm、幅約1mm、平滑です。
種子は1個で少量の胚乳と円柱状の胚をもちます。スギナモは、外観が円錐形で、杉の木やシダ植物のスギナ(杉菜)に似ているので、この和名があります。
漢字名は杉菜藻。学名Hippuris vulgarisの属名Hippurisは「ウマの尾」、種小名vulgarisは「ふつうの」という意味です。スギナモ科には1属3種が知られていますが、アラスカの汽水域にはヒメスギナモという倭生種が知られています。
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水草の育て方2 (水草の育成)
スギナモは高温域には見られない水草であり、低温を好み、水槽では夏の高温期の育成が難しいです。
水槽では困難な面が多い水草です。スギナモは種子または根茎で越冬します。
水草の増やし方
スギナモは種子と根茎により繁殖します。有茎水草の増やし方はいろいろあり、どの増やし方も簡単です。
最も一般的で、初心者の方にもおすすめの増やし方は「さし芽」によって繁殖させる方法です。
有茎水草がある程度伸びたら草体のほぼ真ん中で切ります。
茎の途中の節に根が出ている場合はその場所で切るのも良いでしょう。
切断する位置は茎の節の下から5mmほどの所です。
切り取った上の部分を底床に植えて固定すれば、やがて根付きます。
残った下部もまた同様に底床に植えて固定すれば、やがて脇芽を出して増やせます。
側枝を作る場合も多く、側枝が水面まで伸びてきたら、また茎節の下5mmの位置でカットして床砂に植えます。
こうしてどんどん増やすことができます。「取り木」よる方法もあります。
有茎水草が底床に根付いている状態で、そのまま茎を寝かせ、茎頂辺りを石などで軽く固定します。
すると、やがて茎節から新芽と根が出てきます。
新芽が5cmほどに生長したらそれぞれをカットし、新たに植え直します。
水草水槽のレイアウト
スギナモは水面上に抽水生活して群生する景観は、スギの森林帯を遠望するのに似ています。
中景から後景にまとめ植えでレイアウトすると良いでしょう。
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水草図鑑データ
名称 | スギナモ |
学名 | Hippuris vulgaris L. |
和名 | スギナモ(杉菜藻) |
別名 | |
科名 | スギナモ科 |
原産 | 日本(寒冷地区)、 アメリカ(カリフォルニア、ニューメキシコ、アイオワ、ニューヨーク) 朝鮮、中国大陸北部、シベリア、グリーンランド、アラスカ、ヨーロッパ北部の亜寒帯 |
光量 | 普通 20W×2~4本 |
二酸化炭素 | なるべく添加 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
硬度 | 中硬水 |
水温 | 15~24℃ |
形態 | 有茎水草 |
栽培難易度 | 難しい |
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