水草の育て方1 (水草の種類)
サンショウモは日本の本州、四国、九州の水田や池沼などに自生する、一年草の浮草でシダの1種です。
サンショウモは浮標性ですので水面に生じ、寒冷期は胞子で過ごします。
サンショウモ属は世界に1属12種ほど知られていますが、日本の在来種で自生しているのはサンショウモ1種のみです。
サンショウモは「アカウキクサ」と同様に夏から秋ごろ、水田に大繁殖して、イネの強害草になりますが、除草剤には弱く、近年各地でめっきり減少しつつあります。和名「サンショウモ」の語源は、浮葉がサンショウの羽状複葉に似ることに由来します。
サンショウの葉に似ていることから、この和名がつけられた浮き草です。
形状がサンショウの葉に似ているここからの名称がつきました。
学名のSalvinia natansのnatansは「水面を浮遊する」とい意味です。サンショウモの葉は、浮葉(フヨウ)と水中葉があります。
水中葉は、沈水葉(チンスイヨウ)ともいいます。
浮葉は小判形をしていて茎に対生してつきます。
水中葉は茎に対して下向きにつき、いつも水中にあります。
根のように絡み合っているのは水中葉で、サンショウモに根はありません。サンショウモの葉は三輪生しますが浮葉は緑色長楕円形で対生に見え、もう一つの菜は水面下に垂れて根状褐色で細毛から養分を吸収します。
浮葉は細毛を密生させて、水をはじき、内部は気室が発達して浮力があります。
胞子嚢果は仮根の基部に生じ、大胞子嚢果(径5~6mm)、小胞子嚢果(径3~4mm)、ともに球状褐色です。
[胞子嚢=(ほうしのう)]サンショウモの茎は糸状で短毛があり、まばらに分岐して全体は約10cmに達します。
茎は糸状、葉は3枚輪生で、各節に長橋円型の浮黄を左右に一枚ずつ出し、下に出る一枚の葉は細裂して根状となり、栄静吸収を行ないます。
2枚は長楕円形で対生する浮葉ですが、他の1枚は根のように水中に垂れる水中葉で根はありません。サンショウモは通常「オオサンショウモ」より一回り小さく、オオサンショウモは成葉の葉縁が押し出されるように水面よりも上に突き出ますが、サンショウモは突き出ません。またオオサンショウモは葉の表面の突起模様(毛)が縞で、サンショウモはプツプツとして凹凸状の突起です。
サンショウモは「オオサンショウモ」の水槽栽培のものと見分けが難しいですが、葉の表面に生える産毛の形状の違いにより区別できます。
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水草の育て方2 (水草の育成)
サンショウモは日当たりの良い場所であれば特に問題なく育てられます。
サンショウモは野外では1年草ですが、温室内では越冬して、常緑多年草になります。
水槽では強光、液肥の投与が有効です。
サンショウモは水槽栽培では光量などによりどうしても小型になりますが、浮葉と根状葉が観察できます。
サンショウモの育成には強い照明が必要で、水槽ではわいしょうやや短小化しやすいのでガラスぶたはしないほうがよいでしょう。
水草の増やし方
サンショウモは枝分かれや分裂によって繁殖します。富栄養化している場所では水面一面に群生します。蛍光灯下でも水槽育成が可能ですが、古い葉は老化が激しく、水面を被いつくすほどの繁殖力は見られません。サンショウモは秋、水中葉の基部に大胞子嚢と小胞子嚢をつけます。浮漂する胞子のうは風によって容易に移動し、やがて水底に沈下します。翌春、胞子は発芽して前葉体となり、受精して幼植物になります。
日本産のサンショウモは繁殖力は強いですが降霜には弱く、晩秋になると急速に枯死しますが、しばらくの間水面に多量に赤褐色の胞子のうを浮上させます。
水草水槽のレイアウト
サンショウモは基本的に浮草ですので水槽のレイアウトとしては難しいですが、グラミーなどが泡巣をかけるのに都合がよいでしょう。
水草図鑑データ
名称 | サンショウモ |
学名 | Salvinia natans |
和名 | サンショウモ(山椒藻) |
別名 | ムカデモ サルビニア・ナタンス |
英名 | フローティングモス |
科名 | サンショウモ科 |
原産 | 日本(本州、四国、九州)、朝鮮半島、中国大陸、台湾、アジア南部、インド、ヨーロッパ、アメリカ |
光量 | 強い 20W×3~4本 |
二酸化炭素 | 必要なし~少なめ |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
硬度 | 中硬水 |
水温 | 20~30℃ |
形態 | 浮草 |
栽培難易度 | 容易 |