水草の育て方1 (水草の種類)
フサタヌキモは、日本の本州中部以西の湖沼の浅水中にまれに産する食虫植物で、漂流性の多年草です。
地下茎はできないですが、下端が水底にうずもれ、沈水性を示すことがあります。フサタヌキモの葉は茎に密に互生、基部で2~4mmに分かれ、輪郭の長さ2~5cm、幅1.5~4cm、著しく羽状に分裂します。
最終裂片は糸状で長く、その頂端にのみ1~3個の小刺毛があります。フサタヌキモは茎に呼吸枝ができることがあり、捕虫嚢は発達せず、まれに1~2個できます。
口の両側につくロひげは単純で短いです。フサタヌキモの花期は7~9月、花茎は茎より細く高さ7~15cm、直立、途中に鱗片葉はつきません。
花茎の上方に花柄の長さ1~2cmある唇形花が3~10個つく総状花序ができますが、花柄は開花時には横向き、果時には下向します。
がくは2片に分かれ長さ2~3mm、広卵形で凹頭、果時には僅かに成長します。
花冠は橙黄色で、花柄1cm前後、上唇より下唇の方が大きく、債に広い楕円形、長さ約6mm、幅約8mm。
距は下唇より短く長さ3~4mm、卵状長楕円形で前方へ真っ直ぐのびます。
また、しばしば花茎の基部や茎の分枝点に緑色球状、径2~4mmの閉鎖花を1個つける特徴があります。
蒴果は球状、径3~14mm。フサタヌキモの種子はプリズム状で稜があり、両端は切形、中央部はふくらみます。和名の語源は、茎葉の外形がタヌキの尾がふさふさしていることに似ているに由来します。
漢字名房狸藻。日本の固有種で、秋田・宮城(加護坊山の沼)両県のほか、本州中部、近畿、中国地方の一部で報告されていますが、分布はきわめて少ないです。
環境省絶滅危惧ⅠB類(EN)に指定されています。フサタヌキモの種の特徴は、最も顕著なことは閉鎖果をつけることと、捕虫嚢がきわめて少ないことです。
また、ほかの「タヌキモ」と比べて極めて柔軟です。東南アジアには類似種の「Utriculariageminiscapa」が知られるのですが、フサタヌキモに比べて、ずっと小形で、タヌキモのように多数の捕虫嚢をもっています。
また、葉の最終裂片もフサタヌキモでは、ほとんど無毛で頂端にのみ1~3本の小刺毛をつけるのに対し、裂片側面に少数の歯牙片を互生し、それぞれの先端と裂片頂端にそれぞれ1本の小刺毛をもちます。
さらに、花冠の上唇と下唇はフサタヌキモのそれより小さく、上唇は三角状楕円形で、仮面部のもり上かりが著しく、距は鋭頭または鈍頭で、下唇と同長であること、などの特徴の違いかあるので、フサタヌキモは日本の固有種とされています。熱帯魚ショップや通信販売での流通は少ないでしょう。
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水草の育て方2 (水草の育成)
フサタヌキモはやや富栄養の環境を好み、生育するための捕虫の必要性が少なく、捕虫嚢を少数しかつけません。
水槽での育成は二酸化炭素(Co2)を添加し、液肥を授与します。
成長は速いです。
種子またはそのままで越冬します。
水草の増やし方
フサタヌキモは分枝を切りはなす方法で増やせます。有茎水草の増やし方はいろいろあり、どの増やし方も簡単です。
最も一般的で、初心者の方にもおすすめの増やし方は「さし芽」によって繁殖させる方法です。
有茎水草がある程度伸びたら草体のほぼ真ん中で切ります。
茎の途中の節に根が出ている場合はその場所で切るのも良いでしょう。
切断する位置は茎の節の下から5mmほどの所です。
切り取った上の部分を底床に植えて固定すれば、やがて根付きます。
残った下部もまた同様に底床に植えて固定すれば、やがて脇芽を出して増やせます。
側枝を作る場合も多く、側枝が水面まで伸びてきたら、また茎節の下5mmの位置でカットして床砂に植えます。
こうしてどんどん増やすことができます。「取り木」よる方法もあります。
有茎水草が底床に根付いている状態で、そのまま茎を寝かせ、茎頂辺りを石などで軽く固定します。
すると、やがて茎節から新芽と根が出てきます。
新芽が5cmほどに生長したらそれぞれをカットし、新たに植え直します。
水草水槽のレイアウト
フサヌキモは屋外の水鉢や庭池栽培でもよく楽しまれます。
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水草図鑑データ
名称 | フサタヌキモ |
学名 | Utricularia dimorphantha |
和名 | フサタヌキモ |
別名 | |
科名 | タヌキモ科 |
原産 | 日本(本州中部以西) |
光量 | 普通 20W×2~3本 |
二酸化炭素 | なるべく添加 |
水質 | 弱酸性~弱アルカリ性 |
硬度 | 中硬水 |
水温 | 20~28℃ |
形態 | 有茎水草 |
栽培難易度 | 普通 |
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